特集 手こずつた症例―私の経験した診断治療上の困難症(Ⅱ)
肺腫瘍
福間 誠吾
1
1千葉大学医学部,肺癌研究所
pp.797-803
発行日 1962年8月20日
Published Date 1962/8/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407202949
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はじめに
「肺腫瘍の外科における診断と治療のむずかしさ」という課題であるが,肺腫瘍の大部分を占める肺癌にしぼつて述べてみようと思う.
肺癌症例の発見が最近急速に増えていることは,その主因が何れにあるか判然としないが,医療に従事する人達のみならず,一般の人達の肺癌に対する認識が高まつてきたことと共に,診断や治療面の進歩に従つて肺癌摘発の可能性が多くなつたこともその一因であろう.しかし,ひるがえつて肺癌の治療成績をみると,各方面の非常な努力にもかかわらず,その予後は依然として不良であり,治療の根幹であると思われる外科手術の成績にも著明な改善は認められていない.
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