特集 手こずつた症例―私の経験した診断治療上の困難症(Ⅱ)
血管の疾患
橋本 義雄
1
1名古屋大学
pp.753-759
発行日 1962年8月20日
Published Date 1962/8/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407202943
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診断上の困難性という問題にはいろいろな意味が含まれている.先ず第1に疾病に対する医学的知識が十分でなかつたために診断がつきにくかつたということも少くない,また知識は十分あつても疾病の現わす症状がはつきりしていないために診断が容易でなかつたということもある.一般に疾病は一つの経過によつて症状もいろいろに移行,変化する場合がある.従つて初期においては診断が困難であつてもある経過の後に観察すると,これがはつきりすることもある.また臨床的にはたとえ如何なる検査成績を揃えても組織学的診断をまたなければその診断の判明しないこともある.以上のような考えを含めて血管疾患の診断上の困難点について述べることにする.ここで取り扱う血管疾患とは末梢血管とともに大動脈疾患をも含めて私どもの経験を話してみたい.
末梢血管疾患といえば一般には四肢における血管の疾患を指すことになるが,私の教室では末梢血管疾患とともに脳血管疾患をも取り扱うことが少くないので,この両者も含めて主題の問題について2,3述べることにする.
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