Japanese
English
綜説
末梢血管疾患
Peripheral vascular Diseases.
橋本 義雄
1
Yoshio HASHIMOTO
1
1名古屋大学
1First Surgical Department, Nagoya University, School of Medicine
pp.2-10
発行日 1957年1月15日
Published Date 1957/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404200448
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一般に末梢血管疾患とは四肢に於ける血管の疾患を指すのであつて,従つてこの場合の末梢血行障碍の状態は外部より比較的容易に観察することが出来る。然し末梢血行障碍は末梢血管疾患の場合のみに認められるものではなく他臓器疾患,その他一般病的状態の一症状としても現れることが少くない。即ち心臓疾患,貧血のある場合その他シヨツク時,麻酔時等にも末梢の血行障碍が現れて来る。故に末梢の血行障碍が現れたからと云つて直ちにこれを末梢血管疾患と考えることは出来ないが,一方明らかに末梢血管に異常を認めてもこれが直ちに末梢血管のみに限局したものと考えるのも正しくない。何故ならば多くの末梢血管疾患のうちにはそれが他の臓器疾患に続発或は合併して発症していることも少くないからである。こう考えてみると末梢血管疾患なるものは極めて曖昧な姿で取扱われることになり,実際に於いても誠に紛わらしいこともある。然しある知識を以つてすれば当然これ等末梢血管疾患に就いてもそれぞれの種別が鑑別せられ,その各々に対する合理的治療法が考慮されなければならないと思う。
末梢血管疾患の診断には先ず末梢血行障碍の症状の有無並びにその程度を知る必要がある。先ずそのためには患者の詳細な病歴を聴取することが大切である。
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