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綜説
実験外科におけるいわゆる"輸血反応"の研究—犬における輸血反応の原因とその対策および体外循環における意義
A Study of So-called Transfusion Reaction in Experimental Surgery
太田 喜義
1
Yoshinori OTA
1
1東京大学医学部木本外科教室
1Department of Surgery, Tokyo University, School of Medicine
pp.85-96
発行日 1962年2月20日
Published Date 1962/2/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407202853
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緒論
従来犬の血液型はuniversalと考えてよいものとされ凝集素の自然に存在する率は割合低く,またその凝集価も低いことが報告され8),47),また事実一般の実験的研究に犬を使用する場合には交叉試験を行なわずにdonorの血液を用いることが多いと考えられるが,それにも拘らず輸血によつてショックがおこり,かつ血液型には関係のないらしいことが徐々に認められるに至つた.ことに近年実験的体外循環の研究が盛んになるにつれてdonorの血液を用いることが多くなり,それに従つて輸血反応の問題がその方面にたずさわる人々の間で注目され始めたようである.
現在迄に幾つかの説明ないし仮定がこの輸血反応の原因について挙げられてはいるが,いずれも決定的なものとは思われず,また事実われわれは現在の処如何なる犬の血液が如何なる犬にショックをおこすかをあらかじめ予知する方法を持つていない状態である.
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