Japanese
English
展望
悪性腫瘍に伴う異常な臨床症状—(3) Polycytaemia
Some unusual clinical features associated with malignant tumors. Part 3. On Polycytaemia
渋沢 喜守雄
1
Kishuo SHIBUSAWA
1
1前群大
pp.887-901
発行日 1961年10月20日
Published Date 1961/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407202828
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
はしがき
Polycythaemiaは慢性に経過して急激に衰弱を招くことが少いので,たとえ中年の年齢層に稀でない,最終的には致死的の疾患であつても,外科では存外に注目されないようである.原発性の真正赤血病は,慢性骨髄性白血病・myelofibrosisなどと多少オーバラップしつつ,骨髄の"myeloproli-ferative"の疾患を構成する.ここでは,本症が50歳台(平均年齢53.7歳)の男子(♂:♀=2:1)に好発し,ユダヤ人に多いという事実を注目しておきたい.それは,ここで取扱おうとする,ある種の癌に合併する続発性多血症が,やはり,中年男子に好発し,ユダヤ人に多いからである.原発性赤血病は周知のように,赤血球・ヘモグロビン・ヘマトクリット・循環血球量の著しい増多のほかに,多くは白血球・栓球にも増多があり,脾腫を示している.その動脈血酸素飽和度には全くhypoxiaの所見がない.また,その多核白血球にはアルカリ性フォスファターゼ活性が強陽性である.これに反して,ここで取あげる続発性多血症には,白血球・栓球の増多はむしろ稀であり,脾腫が少く,動脈血酸素飽和程度がしばしば低く,多核白血球のアルカリ性フォスファターゼは正常である.すなわち,癌に合併する多血症は,あくまで続発性polycythaemiaであつて,原発性pol ycythaemiaが偶然発生したのではない.
Copyright © 1961, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.