特集 腫瘍随伴症候群とオンコロジーエマージェンシー―病態や治療に伴う多彩な症状
特集のねらい
悪性腫瘍の病態や治療に伴う多彩な症状
加藤 俊介
1
1順天堂大学大学院医学研究科臨床腫瘍学
キーワード:
腫瘍随伴症候群
,
オンコロジーエマージェンシー
,
チーム医療
Keyword:
腫瘍随伴症候群
,
オンコロジーエマージェンシー
,
チーム医療
pp.1532-1533
発行日 2019年8月1日
Published Date 2019/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika124_1532
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腫瘍随伴症候群とオンコロジーエマージェンシー―病態や治療に伴う多彩な症状
わが国の65歳以上人口は,3,500万人を超えて年々高齢化が進行しており,それとともに悪性新生物の罹患者数も年間約100万人と増加の一途をたどっている1).その一方で,がんに対するさまざまな新規治療法が開発され,患者の予後は改善傾向を示しており,がんの5年有病者数(過去5年以内にがんの診断を受けた生存者数)も250万人に達している.そのため何らかの形で医療機関を受診するがん患者が増加し,普段がんをメインの疾患として扱わない一般内科医の方でも,併存疾患の診療のために,がんを併発している患者の診察・治療の機会が増えてきているものと思われる.
早期固形がんは局所的な症状を契機にみつかる可能性はまれであるが,その後病状の進展とともに,増殖を繰り返しながら全身に播種や転移を引き起こし,全身的な症状を呈するようになる(表1).腫瘍が原発部位および転移部位で増大し,さまざまな局所症状(圧排や閉塞)などを引き起こす場合,その局所症状が原発臓器に由来するものであれば,比較的悪性腫瘍の診断は容易であり,治療への対応もスムーズに行われる.しかし,転移先の部位で生じる局所症状(脳転移,骨転移,気道閉塞,腸閉塞など)が初発症状で起きた場合は,転移先の臓器を専門にしている診療科が最初の診断と初期対応を求められ,その後の精査の過程で原発が疑われる腫瘍専門診療科と緊密に連携を取りながら確定診断にもっていくこととなる.
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