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心筋血行再建手術,他
pp.455-461
発行日 1961年5月20日
Published Date 1961/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407202761
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心筋阻血の外科には,心筋外から血液を心筋へ誘導し,血液を阻血部へより有効に分布せしめる目的がある.大網を心室壁に植えこみ,大網の血管10-12本が冠動脈基始部附近に流れる様にする方法が古くから有効とされている.著者らは大網固定法を,Beck第1法,Vinebergのスポンジ法,左肺動脈結紮法,心照射法と比較した.Beck第1法は心室壁を三塩化酢酸・アスベストなどで縦隔脂肪にくつつける方法,Vineberg法はイバロンスポンジを薄片とし心筋に縫つて心膜をとじる方法,肺動脈結紮はLittlefied老案で気管支動脈から心血行を促す方法.まずイヌで左前下行放を狭窄して心阻血をつくり,4手術法で,生存日数・心筋血流量を比較する.大網固定法では10頭中の7頭,Beck法では3頭,Vineberg法と照射法ではそれぞれ1頭が生存したにすぎない,すなわち大網固定法が最もすぐれている.心筋血流はSev-elus & Johnsonや法でしらべ,4群有意の差はなかつた.生存しえたものは正常値に近い値を示す.それで,心筋血流量は大網固定法が一番よいとは云えなかつた.しかし大網固定法では生存数が最も多く,心筋阻血防衛作用が最も著しかつた.
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