印象記
第8回日本輸血学会印象記
遠山 博
1
1東京大学輸血部
pp.623-628
発行日 1960年7月20日
Published Date 1960/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407202622
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日本輸血学会は3月30日午後1時に沢田平十郎会頭により開会の辞が述べられたが,実際は同日午前10時40分より日本麻酔学会との合同パネルディスカッションを以てその幕をあけた.この両学会合同パネルは主に日本麻酔学会会長稲本教授の構想により,本邦では初めて試みられた新形式である.外国では2つの学会によるジョイント・セッションは多いが本邦でもこの形式は次第に発展して行くであろう.この合同パネルは稲本会長自らの司会の下に最も豪華な会場フェスティバルホールで行われた.①札幌医大高橋教授は先ず静脈麻酔剤の生体内における分解等薬理学的理論と患者の各種の栄養状態との関係を論じた.次いで特別参加として九大第二外科犬塚氏から「輸血節減下手術における生体重要臓器の循環動態について」と題して,同手術の症例を多く引用して輸血量を無用に多くするのは慎むべきであることが述べられた.②東大輸血部遠山は一般臨床家のABO式血液型判定にはかなり誤判が多いこと,発表されたABO式不適合輸血中ではO型にA型を輸血したものが一番多く,また死亡率が最も高いこと,全身麻酔中の輸血副作用のあらわれ方,不適合輸血と細菌汚染輸血の症状の比較等々を論じ,全身麻酔中のRh式不適合輸血の1症例を報告した.つぎに長崎大秦野教授より急速大量輸血を行う必要が外科手術中には往々あるので,これに対処すべき一案として同教授の創案による装置が多くのスライドにより説明された.
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