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血清アミラーゼ濃厚の病理的意義
pp.213
発行日 1960年3月20日
Published Date 1960/3/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407202564
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血清アミラーゼ値の上昇が膵の炎症性疾患の決定的な診断根拠と考えられてきた.最近3000単位以上に上昇して膵炎でなかつた2例を経験した.第1例は胃切後の上腹部痛で保存的療法を行つたが死亡,剖検で腹腔内ヘルニアであつた.第2例は保存的療法で好転せず開腹によつて胆石症であつた.診断的意味が疑わしく思われる.1000単位以上の高アミラーゼ血症を示す10人の手術例で9例は膵臓の変化がなく胆石を認めている.
Barnes及びSt Louic市立病院の1949〜1954の統計では500単位以上で急性膵炎と診断され,手術で確認された物は7/60であり胆石との関係は55/60であつた.アミラーゼが血中に移行する場所に膵臓実質のみならず胆道並びに肝臓実質からも可能であると考えられる.血清アミラーゼ値上昇は急性膵炎に特異的ではない.
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