臨時増刊特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第2集
VIII.血液化学検査
108.血清アミラーゼ
内藤 聖二
1
1順大災害医学研究所
pp.1880-1881
発行日 1979年10月20日
Published Date 1979/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402216212
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血清アミラーゼの意義
血清アミラーゼ値の上昇する疾患は表に示すように多種にわたっているが,主なものは膵疾患,耳下腺疾患,アミラーゼ産生腫瘍である.正常において血液中にアミラーゼは放出されており,生体では何かの作用を行っているものと考えられるが不明である.血清中アミラーゼは個人ではほぼ一定であり,加齢による変動は少ない.正常値は60より160単位(caraway)とかなりの変動があり幅は広いが,血清アミラーゼ値が上昇する場合も低値を示す場合も異常と考えられる.
正常人では血清アミラーゼの分泌される臓器は膵臓と耳下腺であり,膵臓では消化管ホルモンであるパンクレオザイミンにより膵外分泌腺が刺激され他の酵素とともに膵管に分泌され,膵管よりリンパを経て血中に出現する.耳下腺では迷走神経の興奮によって分泌が起こり,リンパを経て血中に出現する.また胸水内,腹水内のアミラーゼも胸膜,腹膜から吸収され,血中に出現する.正常人の血清アミラーゼは耳下腺アミラーゼ,膵アミラーゼの総量で測定される.これを臓器別に区分するためにはアイソアミラーゼをアクリールアミドゲル法,セルローズアセテート膜法などを用い電気泳動を行って検討する。臨床的にはセルローズアセテート膜上で耳下腺分画と膵分画の比はおよそ65:35である.
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