Japanese
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薬剤
新局所麻酔剤Epirocaineの使用経験
Using the Epirocaine, a new local Anesthetic
小林 建一
1
,
宮川 理平
1
,
坂本 政直
1
Kenichi KOBAYASHI
1
1東京慈恵会医科大学大井外科教室
pp.1083-1087
発行日 1959年10月20日
Published Date 1959/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407202479
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1905年,EinhornによりProcaineが合成されて以来,Procaineは安全な局所麻酔剤として一般に使用されてきた.しかしながら,Procaineには表面麻酔力の弱いこと,血管収縮作用を欠くこと,Procaineに対する過敏症もみられること等の理由で,これらの欠点をなくした局所麻酔薬の出現が望まれていた.
1943年,スエーデンの化学者Löfgrenによつて,従来の局所麻酔剤とは異なつた構造をもつLidocaine(β-diethylaminoaceto 2,6-xylidide)が発表された.Lidocaine(販売品Xylocaine)は,血管牧縮作用はないが,Procaineよりも遙かに強力な表面麻酔力,伝達麻酔力をもつており,無痛効果は速効的で,その持続時間も長い利点をもつている.しかしLidocaineの濃度の高いものはProcaineの約2倍の毒性をもつており,この点でもまだ充分のものとはいえない.これらの欠点を改善するために,Hostacaineをはじめ,種種のLidocaineの誘導体が発表されたが,その後の研究によつて,安息香酸そのもののエステルが優れた局所麻酔力を有することが発見され,ここにEpirocaine(エーザイ製)が合成された.私どもは本剤を外科手術時の局所麻酔剤として使用したので報告する.なお本剤を胃鏡挿入時の表面麻酔に使用した効果については,先に教室森が報告している.
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