Japanese
English
綜説
肺結核外科療法の限界
Limit of the surgical treatment of tuberculosis.
西 純雄
1
,
高下 良正
1
Sumio NISHI
1
,
Yoshimasa KHOGE
1
1国立岡山療養所外科
pp.745-752
発行日 1958年8月20日
Published Date 1958/8/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407202222
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まえがき
劃期的な抗結核剤であるStreptomycinが発見されて以来,相次ぐ化学療法の出現によつて肺結核の治療は昔日と全く異つた様相を呈してきた.外科療法においても最近10年間の進歩はまことに目覚しいものがある.即ち胸廓成形術その他の虚脱療法が主流であつた戦前の肺結核外科療法も戦後肺切除が導入されてから麻酔の進歩,優秀な抗生物質の出現,術技,術前後処置の改良などによつて治療方式は漸次変遷してきた.今日では肺結核外科療法のうちで肺切除がもつとも優れていることはその成績よりみても誰も疑わないところであろう.しかし最近われわれが外来で診る患者では肺切除が容易で安全に施行しうる症例は数年前に比して減少してきている.切除を行うにはあまり香しくない条件をそなえているものや,切除はどうもできそうにない条件を有する症例がかなりみられる.その原因についてはいろいろあるが,第1には軽症例が化学療法の適格な使用によつて改善率がたかくなつてきたことと,一般病院にても結核を收容するベット数はかなり増床され,そこに一定の設備と胸部外科の経験を有する医師がおれば肺切除のより適応の場合には処置されるようになつたことである.
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