症例
肺区域切除による肺化膿症の1治驗例
西 純雄
1
,
佐藤 泰正
1
,
浜本 泰夫
1
Sumio NISHI
1
,
Yasumasa. SATO
1
,
Yasuo HAMAMOTO
1
1國立岡山療養所
pp.360-362
発行日 1953年7月20日
Published Date 1953/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407201265
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肺化膿症は古来難治の疾患とされ,その治療法も始めに保存的療法が主として行われ,外科療法に移る時期は発病後相当時日の経過していることがかなりあつた.從つて屡々治療期間も遷延し,外科療法の成績も保存的療法による場合と大差はなく満足すべきものではない.確かにペニシリン(以下ペ剤と略す)その他化学剤の発見は本症の治療に大きな発展をもたらしたが,なおその効果も一定の限界があり,外科的処置は依然重要さを失つてはいない.化学療法で効果のないものに対してこれまで我國で行われてきた外科的処置は虚脱療法や肺切開術等である.肺切除による本症の治驗例は外國では既に多数報告されており,病巣の限局型に対して肺区域切除による成功例もある.近時我國でも肺切除がかなり安全な手術となつて以来,本症に対しても肺切除が施行されてはいるが,未だその報告例は極めて少い.我々は最近國立岡山療養所で内科的治療で無効な本症の1例に肺区域切除を施行し経過良好であつたので報告する.
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