Japanese
English
特集 外科的・内科的療法の限界
肺壊疽—内科的療法の限界
Lungabscess Limit of Internal Treatment
福島 孝吉
1,2
1三井厚生病院内科
2東京大学上田内科
pp.443-451
発行日 1958年5月20日
Published Date 1958/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407202187
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
1.緒言
肺壊疽の治療法として,内科的保存療法による可きか,外科的に処置すべきか,又如何なる時期に,内科より外科に移す可きか,時代と共に大きな変遷がある.ペニシリン以前に於いては,保存的療法を数週間行つて,効果のないものは,外科的治療の適応とされた.ペニシリンの出現により,本症の治療は全く一変し,本症の殆んど総べては,ペニシリンによつて,良効が得られ,更に,これに次いだ数種の抗生剤の応用が行われる様になり,本症の治療は,化学療法が主体となつた.更に近年胸部外科手術の進歩に伴い,切除術が広く行われる様になり,化学療法後の遺残空洞や気管支拡張は容易に切除される様になり,又稀に見られる.化学療法にて良好を見ないものも,切除によつて治療し得る様になつた.
かく本症の治療は,現在は内科的に先ず治療し,必要があれば外科的に処置することが普通と考えられるが,ではいかなるものを外科に廻す可きか,又その判断に際して,どんな事柄が関係するであろうか.その一つは起因菌の如何であり,更に治療後に残つた空洞や,気管支拡張の問題等である.
Copyright © 1958, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.