Japanese
English
術技
脊椎結核における骨充填術
The technique of bone filling in case of vertebra-tuberculosis
島津 晃
1
,
木部 功一
1
,
榎原 幹雄
1
,
佐守 友造
1
,
坂本 和英
1
Akir SHIMAZU
1
1大阪市大整形外科
pp.182-188
発行日 1958年2月20日
Published Date 1958/2/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407202146
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まえがき
わが国における脊椎結核の手術的治療は,来須教授によつて始められ,さらに伊藤弘教授らによつて手術による根治の可能性を見出されたが,今日の如く,抗結核剤の発達がなかつた時代には広く行われるにいたらなかつた.一方,Schmiedenの脊椎結核の手術療法の統計は手術の批判の声をたかくし,脊椎固定術を進歩せしめた.しかしながら,ストレプトマイシン,パスなどの抗結核剤の著明な進歩と麻酔法の進歩は,この方面の手術的治療の輝かしき成果を生むにいたつた.
われわれは,昭和28年3月以来,椎体削開術なる術式を独自の立場で考案し,段階的手術の原則をさだめ,これに従つて脊椎結核を治療し,4年半の年月と350例を突破する症例を経験し来つた.この段階的手術療法によつて病巣をすみやかに根治せしめ,椎体の修復再生をきたさしめ,日常生活に復帰できるのであるが,しかし,数多い経験のうちには,手術ののちの厳重な観察治療下にあつても,骨の修復がわるく,治癒までに長年月を要する症例もある.かかる症例については,逐次的なレ線検査,菌培養,組織学的検査,さらに瘻孔があれば瘻孔造影検査などをおこない,個々の原因を追求し,その対策をたてている.とくに骨の修復の不良例に対する骨充填術(Erla—cher変法)は欠損せる死腔をなくし,移植骨の活着もすみやかに行われ,優秀な成績をおさめ得た.
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