Japanese
English
綜説
ナイトロミンによる腸管癒着防止に就て
On the Prevention of the Intestinal Adhesion by Use of Nitromin
劉 四朗
1
,
久野 一郞
1
,
劉 善夫
1
,
中田 久夫
1
Shiro RYU
1
,
Ichiro KUNO
1
,
Yoshio RYU
1
,
Hisao NAKATA
1
1神戸市劉外科病院
1Ryu Surgical Hospital, Kobe City
pp.161-168
発行日 1956年3月20日
Published Date 1956/3/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407201778
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1.まえがき
開腹術に際し侵襲が腸管に及ぶと,腸管に癒着現象が見られる.この腸管が癒着し易い事は炎症の拡大防止に大いに貢献するが,一方これが原因となつて閉塞性乃至絞扼性イレウスを惹起し,手術を必要とする事は非常に多い.第54回外科学会宿題報告で斎藤教授は,大病院,教室19年間(昭10〜昭28年)のイレウスの集計を発表して居られるが,イレスウ総数12,614例中,手術後イレウスは3,180例を占めている.この他にイレウス症状を惹起しない迄も,術後の癒着障碍に悩む者を加えれば,その数は莫大なものになるであろう.この様な事実は,開腹術後の癒着による障碍が如何に多いかを物語つている.従つてこの癒着防止の問題は,我々外科医の屡々遭遇するものであり,しかも困難を感じるものゝ一つであるので,古くから本邦及び欧米で多数の研究があるが,確実効果的な手段がない所から,今日も尚盛んに論議され研究されているのが現状である.
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