Japanese
English
特集 偶發症との救急處置
ショックの救急処置
The first aid of the shock
植草 実
1
Minoru UEKUSA
1
1慶応義塾大学医学部外科学教室
1The Department of Surgery, Keio University
pp.813-817
発行日 1955年11月20日
Published Date 1955/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407201708
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外科臨床において外傷,出血,手術或は麻酔に伴ういろいろの偶発症の治療に適切な初期対策が特に大切なことは申すまでもない.ショックが初療の時期を失するか,加療に誤りがあると後では如何に精力的治療を施してもその回復を困難なものとすることは日常経験するところである.近年種々の検査方法の進歩に伴つてショックの病態生理,代謝,病理は漸く明かになつてきたとは云え,なお原因が何であつても急激な血圧下降に直ちに血管收縮昇圧剤を用いる誤りが犯されていないであろうか.また体位変換,移動など傷者・患者の取扱いが大まかに行われていないであろうか.正しい救急処置が望まれる所以である.ショックに至る原因,誘因は甚だ多様であり,侵襲の側にも個体の側にも求められるが,救急処置を適切に行うためには速かにこれを見定めることが必要である.またショックを早期に発見し,更にはこれを起しうる状態,侵襲に就ても知らねばならない。原因,誘因の主なもの,その応急処置に就ては別に悉しく述べられるのでこゝには外傷,出血,手術に伴うショック一般の場合に就て述べる.しかしショックは既に生体防衞機構の急激な破綻状態であり,従つてその治療は殊に急を要するものであつて,救急処置と云つてもそれはそのまゝショック治療の殆どであり何ら特別のことはない.
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