Japanese
English
特集 偶發症との救急處置
心臓マサージ等の処置によつて辛うじて助け得た極めて重篤なる腰麻ショックの一治験例—特に術後見当識の推移について
A case of the extremely serious spinal shock which could be hardly recovered by heart massage etc.
林 久惠
1
,
新井 達太
1
Hisae HAYASHI
1
1東京女子医大外科
1The Department of Surgery, Tokyo Women's Medical College
pp.763-766
発行日 1955年11月20日
Published Date 1955/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407201701
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
腰麻は,腹部外科に於ては現在なお必要欠くべからざるものであり,その手技の簡易性充分な筋弛緩が得られる事等により将来も愛用されると思われるが,その半面安全性,調節性,呼吸循環障碍,技術上の失敗等の多くの欠点を持つている.この欠点による危険性はすでに諸家に指摘され,腰麻による死亡率は0.1%〜0.8%位とされ,大槻・清水外科でのそれは4121例中,0.04%だと云われて居る.この様に少数とは云え危険性がある以上常に不慮の事態を考慮し万全の方策を準備して腰麻を施行すべきであると思う.
最近,腰麻により呼吸停止並びに心停止を来たした出血性胃潰瘍患者に対して,直ちに陽陰圧呼吸を行うと共に,左側開胸し心臓マッサージを行い,28分後心搏開始をみ,後胃切除術を完了し,辛うじて助け得た一例を経験した.
Copyright © 1955, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.