綜説
内分泌機能から見た乳癌の前癌状態
藤森 正雄
1,2
,
平山 峻
1,2
,
林 正秀
1,2
,
橫田 貞男
2
Masao FUJIMORI
1,2
1東京大学医学部木本外科
2泉橋病院外科
pp.561-567
発行日 1953年10月20日
Published Date 1953/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407201313
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乳癌の発生,診断及び治療を内分泌機能ことに性腺ホルモンと関連せしめて考察することは古くから行われている.たとえば,動物就中マウスにおいてestrogenの連続注射,(Lacassagne,1932)卵巣移植(Murray,1928)によつて乳癌が発生し,或はその発育を促進する(Murray,1937)のみならず,人においても強力なestrogen注射に一致して同時に乳癌が発生することがある(Allaben& Owen 1933, 1939, Anchincloss & Haagen—sen 1940, Parsons & Mc Call 1941, Footed& Stewart 1954)ことから,estrogenに発病性があり,乳癌の成り立つ原因(Kansale Genese)としてestrogenが1つの有力な因子であろうと推定するものが少くない.また,乳癌患者の性腺ホルモン代謝及び排泄に異常がおこるであろうという推定の下に,これを乳癌の診断に役立たせようという試みもある.
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