最近の外國外科
乳癌治療法に於ける進歩,他
D. W. Smithers
pp.327-328
発行日 1953年6月20日
Published Date 1953/6/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407201256
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如何なる乳癌治療法でもその予後は結局治療を始める時の病変状態の如何にかゝつている.從つてそれによつて手術か,レ線照射か,ホルモン療法か何れかの適應症を定めなければならない.現在多く唱道されているホルモン療法は特に広汎な骨轉移を有する場合,老年で腫瘍の発育経過が長く,潰瘍性癌腫の場合に適している,その他のものに就ては手術を施すか,レ線照射療法を施すか,何れかに決定する必要がある.腫瘍が乳房の外側半部に位し,小且つ硬固であつて,しかも腋窩の内側に1〜2の可動性の硬いリンパ腺を触知する程度では根治的乳房切断術が適当する.又術後のレ線照射療法は,その切除標本の病理学的檢索により再発の危險が予想される時に施す.患者が既に多数のリンパ腺轉移を有しているのが判明した時は,腋窩内容の清掃を行わないで,單純の乳房切除のみに止め,轉移リンパ腺に対してはレ線照射を施す.癌腫が乳房の内側半部に存在し,既に著しく腫大しておれば,手術は施さず,寧ろレ線照射療法のみを行う方がよい.乳癌治療の一般的原則として,乳癌の組織学的構造の分化程度が高く且つ蔓延の傾向が少なく,発育も遅い時は主として手術的療法に依る.これに反して,乳癌の組織学的構造の分化程度が低く,蔓延度が大且つ発育が迅速な時は主としてレ線照射療法によるのがよい.
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