特集 勞働衞生最近の進歩
工業中毒領域に於ける最近の進歩
久保田 重孝
1
1労働科学研究所
pp.20-30
発行日 1954年11月15日
Published Date 1954/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401201479
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Ⅰ
工業中毒領域に於ける最近の話題はいろいろの立場から拾うことが出来よう。例えば,目まぐるしく変転する産業の事情を敏感に反映して移りかわる職業性中毒の発生状況そのものが既に一つの話題である。又,珪肺に関する研究の如き生体作用本質の深い究明が,どこまで到達したかと云う問題や,或は又鉛中毒に対するCa-EDTA(註1)の如き劃期的な解毒剤の出現なども又それぞれ最近の重要な進歩である。
しかし私は此処では工業中毒の診断領域の最近のトピツクを取上げて見たいと考える。それは,この問題が労働省試験研究要望課題として昭和28年度に採択され,主な工業中毒に対する診断方式が一応定められたと云う重要な事実を紹介することになると思うからである。
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