綜説
虫垂炎性急性化膿性腹膜炎に対するクロロマイセチンの効果(I)
高田 善
1
,
藤田 承吉
1
,
渡辺 暉邦
1
,
喜多 昌彥
1
,
安田 義雄
1
,
庵谷 実
1
,
松山 きん
1
Zen TAKADA
1
1慈惠醫大高田外科
1Surgery of Jikeikai Medical College
pp.115-119
発行日 1953年3月20日
Published Date 1953/3/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407201204
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まえがき
虫垂炎性急性化膿性腹膜炎は,吾々外科医が日常遭遇する機会の多い疾患であつて,化学療法の発展と共に,本疾患に対する化学療法も常に注目され,研究されて来た.
Domagkがマウスの腹腔感染にSulfonamideを使用して以来,BowerのProntosilの臨床実驗,EppsのSulfanilamide化合物及びSulfathiazol等の実驗報告があり,Penicillin(Pと略す)の発見により,益々化学療法が多く導入された.殊にCrile1)2)がPの大量投與により好成績を得たと報告してから,Dean3),Farris4),Cappleson5),坪井6),田代7)等は,Pの有効なことを報告している.又Bower8),Rothenberg9),Eerne10),Pulaski11)等はPとStreptomycin(S. M. と略す)とを併用し,P單独よりも良好な成績をあげ得たことを報告している.Altemeier12)は虫垂炎による腹膜炎の死亡率が1934年から1938年の間の化学療法を行わなかつた338例では14.5%であつたものが,1942年から1948年の間の化学療法を行つた244例では4.9%に減少したと報告している.
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