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クロロマイセチンによる慢性中耳炎の療法
笹木 実
1
,
益田 宗親
1
,
上野 晋一
1
1九州大学医学部耳鼻咽喉科学教室
pp.121-123
発行日 1955年3月20日
Published Date 1955/3/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492201286
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近年ペニシリンその他の抗菌物質の発見により急性中耳炎の治癒率は極めて上昇し,乳様突起削開手術などは殆んど皆無の状態であるが,かかる藥品も尚慢性中耳炎に対しては殆んど効果なき有様にて,今や慢性中耳炎は我が耳鼻咽喉科領域疾患中首位を占め耳漏を根治せしめる藥剤の出現は我々専門医の永年の念願であつた。慢性中耳炎に対して古来,乾燥療法,殺菌剤による療法の他に,最近はペニシリン,ストレプトマイシン,オーレオマイシン,テラマィシン等の抗生物質の全身的或は局所的に応用されるに到り,症例によつては著効を示すものもあるが,万能藥とは云い難い。私共は最近,三共株式会社調製によるプロピレングリコールを溶媒とした5%のクロロマイセチン溶液の試用を委嘱された。最初本藥品の合理的な配合を知つた時,これある哉と心中叫び大いなる期待を以て早速実際に使用し所期の効果をあげ得たのでここに報告する次第である。
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