最近の外國外科
小兒全身麻醉に精神的外傷を軽減する準備法,他
K. Jackson
pp.418-419
発行日 1952年8月20日
Published Date 1952/8/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407201078
- 有料閲覧
- 文献概要
小兒に全身麻醉を施す際に一般に使用される前麻醉藥の阿片剤,バルビタール剤,アベルチンは小兒の呼吸機能を特に低下して障碍を起す欠点がある.それ故著者はこれに代る緩和な藥物(Seconal,Nembutal)と,アトロピンとを使用することにしている.同時に精神的鎭静も利用することを推奨している.即ち手術の前夜に麻醉者は小兒によく話をして予め相互の信頼感を得ておく,又その際に小供が以前に手術を受けたことがあつたか,麻醉に対してどんな感じを持つているか(不安を感じているか,無関心か,寧ろ與味を抱いているか,麻醉者の指示をよく聞く樣な態度か)を予め知つて置く.更に麻醉が始まる時の状態を説明し,麻醉用のマスクを示めして,麻醉は樂に呼吸しながら眠る樣になると,その時に多少目まいや変な感じの起ることもあり得ることなど了解させておく.麻醉を開始する時には先づVinethen(迷朦藥)を開放性マスクに点滴して始め,次で漸次エーテル麻醉に移行する。この心理的の手段を更に一層成功せしめるには,小兒に本当のことをよく知らせ,約束したことは必ず守り,小兒が苦しむ時に眞に同情して助けると云う麻醉者の感じを與えることが必要である.こうした結果から得られる利点は麻醉藥使用量の節約,麻醉を安静に誘導し得ること,興奮性の軽減,生理的機能低下の防止,手術室の静寂の保存等が挙げられる.
(Anesthesiology 12:p. 293, 1951)
Copyright © 1952, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.