Japanese
English
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酸素飽和血輸血に就いて—胸廓成形術の場合
On the Transfusion of the Oxygenated Blood during the Thoracoplastic
片岡 一朗
1
Ichiro KATAOKA
1
1日本醫科大學齊藤外科
1Assist. Prof. of Surgery, Nippon Medical College
pp.515-517
発行日 1951年11月20日
Published Date 1951/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407200919
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現在肺結核に於ける外科治療法の中で,胸廓成形術は最も広く各方面で行われており,その治療成績の進歩には著しいものがある.之には適應の選定並に手術手技の向上等による事は勿論であるが,新抗菌化学藥剤,手術前,手術中及び手術後に於ける補助治療法に負う処が大きい.これに関連して最も主要な事は最近シヨックの病態生理が明かにされ,手術時に於ける出血,酸素欠乏等の問題は興味を引く処である.
胸廓成形術は手術による機械的損傷が極めて大きいので,從つて出血量は多くそれが爲め血圧降下,循環障碍等が惹起され,肝臟腎臟機能等にも重大な影響が及ぼされる.從つてシヨック或はシヨック準備状態が招来される事になる.又酸素欠乏は手術時麻醉のみで既に程度の差こそあれ常に現われる.其の上広範に亘る手術操作が加えられ殊に相当範囲の肺呼吸面が急激に非復元性に萎縮され呼吸機能が喪失されるのであるから酸素欠乏は必らず附随して現れる.此れ等を未然に防止する爲,最近は手術時に出血量が測定され,それを上廻る輸血が行われ又酸素吸入が行われている.米國などではBloodBankが設備されているので大量の輸血が容易であるし,又酸素は充分に設備された病院では病室へ酸素輸送パイプが引き込まれてあると云うことであつて,斯樣な処置により,シヨックは未然に防止され患者の恢復は驚く程早い理である.
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