最近の外国外科
麻醉及び手術中に胃内容の肺内に吸引れさる頻度,他
G. A. Culver et al.
pp.494-495
発行日 1951年10月20日
Published Date 1951/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407200913
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胃内容の肺内吸引は全身麻醉中に起る重篤且つ屡々致死的原因となる偶発症である.嘔吐はこの問題の一部分には関係するが,必ずしも必要條件ではない.それは深麻醉にかゝつた患者には胃内容の肺内吸收が知らず知らずの間に起ることもよくあることであるからである.著者たちはこの偶発症の原因及び頻度を確定するため,手術前に予め胃内に直接Evans blue(T-1824)の25%水溶液4ccを注入しておいて,手術が終るやいなや口腔咽頭,喉頭,気管及び主幹気管枝を喉頭鏡及び気管枝鏡で視診した.咽頭に染色した胃内容の存在によつて知る胃内容の逆流は300名中79名に見られた.但しこの中に明瞭に嘔吐したものは24名,又肺内に胃内容を吸引した者は49名であつた.逆流は患者が水平仰臥位或は碎石位を取る場合よりもトレンデレンブルグ氏骨盤高位或は側臥位をとる場合に多く起つていた.胃に胃管を予め送入して置けば,それを防げる.それは恐らく一定量に達する胃内容を流出せしめることが出来るからであろう.胃が空虚でない場合外科医が上腹部で手術操作中に胃を圧迫すると多分胃内容を咽頭に逆流させると思われる.この吸引する内容物の容積が大である時は致死的気道閉塞を起し得る.しかし又気道内に吸引された内容が刺戟性,起炎性である場合にも危險且つ重篇な結果を生ずる,從つて救急手術が施されなけばならない場合には,胃は予め嘔吐によつて空虚にして置かなければならない.
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