Japanese
English
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骨折治療に用いる金属材料の研究
Study on Metalic Materials Treatment of Fracture
飯野 三郞
1
,
今井 勇之進
2
Saburo IINO
1
,
Yūnoshin IMAI
2
1東北大學整形外科教室
2東北大學金屬材料研究所
1Prof. of Orthopedic Dept. Tōhoku Univ.
2Prof. of Metalic Materials Institute, Tohōku Univ.
pp.451-453
発行日 1951年10月20日
Published Date 1951/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407200898
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1
骨折を整復位に固定するために人体内に挿入する金属は,その強度,塑形性とともに,生体内における高度の不蝕性と非刺戟性とが要求せられる.從来この目的には18〜8系鉄合金(18Cr〜8Ni)が主に使用せられ,第二次大戰前のドイツKrupp鋼たるV2Aや,アメリカのSMOはその代表的な優秀鋼であつて,その一部は以前わが國にも輸入され,牽引用鋼線,内副子,Smith-Petersen三翼釘などに利用されていた.ところがそれらの輸入が杜絶するとともに,これに代つてきわめて粗惡な國産18〜8鋼が氾濫し,腐蝕,折損,化膿瘻孔形成,自然排除等,これに関する苦い経驗をもたない整形外科医は少いのではないかと思う.
一方,アメリカでは1934年以来歯科補填材料の新合金として登場したVitallium(コバルト,タングステン,クロムを主体とする非鉄合金)が高度の不蝕性を有することから,1937年にいたりC. S. Venable,W. G. Stuck & A. Beachの3人がこのVitallium(以前のタングステンの代りにモリブデンが用いられている)を骨折治療用金属として最も優秀であることを述べ,さらにクロムの析出の危險を慮つて,この代りにVanadiumを使うことを提起している.しかし,Vitalliumが完全な電気的不働態で不蝕性である以上,特にVanadiumを使う必要もないようである.
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