歴史
骨折治療の近代史(3)—金属内副子による骨折の固定
天児 民和
1,2
Tamikazu AMAKO
1,2
1九州労災病院
2九州大学
pp.36-41
発行日 1970年1月25日
Published Date 1970/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408904354
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はじめに
骨折の治療はギプス包帯の発見によつて外固定がはなはだ有効で容易になつたし,また英国のThomas副子は第1次世界大戦中から骨折の救急療法には非常に有効であるし,この副子を巧みに利用すると牽引療法もできるという利点がある.しかしListerの制腐手術が普及するとともにあらゆる疾患,外傷に対して手術をもつてこれを治療しようと試みられるようになつてきた.骨折も決して例外ではない.骨折を観血的に整復し,その整復位で確実に固定できる方法があるならば誰でもがとびつくはずである.この骨折を手術し,金属副子,あるいは螺子で固定しようとした主な学者は英国のSir William Arbuthnot Lane(1856-1938)とベルギーのAlbin Lambotte(1866-1955)の2人である.しかもこの2人は同年代に活躍し,LaneはGuy Hospitalにおいて多くの外科医の信望を集め,Lambotteは小国ではあるが,ベルギーの外科学会の重鎮として89歳の長命であつたことも手伝い欧洲の外科学会の信望を集めたが,経済的には恵まれなかつた.しかもこの2人は互いに相手の業績を称讃し合い骨折治療の推進に大きな功績を残した.
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