外科進歩の跡・3
我が國の交感神経外科の進歩の跡について
伊藤 弘
1
Hiroshi ITO
1
1國立山中病院
1Yamanaka National Hospital
pp.333-334
発行日 1951年7月20日
Published Date 1951/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407200852
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我が國に於て交感神経系統に対して外科的侵襲を試みられた事は比較的新しい事で先ず1920年(大正10年)前後より始まつたものと考えて差支えない.
1914年佛医Lericheが動脈外囲交感神経切除なる其当時としては斬新なる手術法を発表し神経損傷後の栄養障碍性潰瘍に向つて該手術を行い更にレノー氏病にも之を應用した.其後独國に於てBrüningが始めて之を追試して以来世界各國に於て追試者日に増加し其適應範囲も次第に拡大せられレノー氏病,特発脱疽,間歇性跛行,骨関節結核,靜脈留,痙攣性筋攣縮乃至筋強直,骨折治癒遅延,鞏皮症乃至象皮病及び浮腫其他諸種の皮膚疾患,切断端疼痛及び一般神経痛等殆んど四肢に於ける疾病の総てに應用せらるゝに至る交感神経系統の外科は恰もLericheによりて始めて創立せられたるが如き観を呈する樣になつた.
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