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末稍血行障碍或いはこれに起因する治癒障碍に対して行われて耒た外科的療法も決して少くはないが,必ずしも常に滿足な成績を得ているとはいえない. のみならず時には却つて増惡をみる場合すらある. これらの原因の中にはかゝる操作自体が直接血行に及ぼす惡影響もまた考慮さるべき場合もあり,又從耒これらを対象とした交感神経外科,頸動脈毬外科方面等の間の相違或は相似性に就て檢討するのもあながち無爲な事ではないと思うので,先づ順序として本篇では交感神経遮断肢特に血管内腔に器質的変化を認めないものについて,主として季節及び環境温度の変化に対する皮膚並びに皮下温の消長を追求し,かゝる方面から末稍血管の態度を観察した結果について述べる.
交感神経遮断は星状神経節(Stと略)以下第7胸部交感神軽節(Th7と略)までの間の任意の神経節を切除或は酒精注射し,実驗は術後久野氏法. Jue—rgensen氏法,Minor氏法により発汗測定を行い,或は酒精注射例のうちには術後一定期日の後に切除術をも行いその檢鏡的所見からも,ともにその遮断の確実であることを確認したものについて行つた. 皮膚及び皮下温測定には銅コンスタンタン單線熔接熱電対を使用し,電位差計を輪道に直列に入れ反照檢流計の零点決定法を採用した. また測定は,皮膚温がその環境に順應するまで即ち少くとも1時間以上室温に露出した後に始めて開始しく緒方1)),室温は22℃〜25℃に,測定時刻も一定にした. また環境の変化に対する反應を観察した場合は,寒冷及び暑熱動機としてそれぞれ最低-20℃及び最高+45℃までの間の種々な温度の実驗室を用い,この場合は総て測定部位のみ露出し他の身体部位は着衣の儘行つた.
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