Japanese
English
麻醉
無痛法(麻醉法)の必要と發達
On Necessities and Advances in Anesthesia and Analgesia
pp.445-448
発行日 1949年9月20日
Published Date 1949/9/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407200515
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外科の進歩を促した最大の要素としては,常に3つのものが拳げられている. 即ち止血法,無痛法及び消毒法である. 止血法は今日では極めて纎細な脳血管などの出血を止める高週波電気凝固法,生理的機序に類する人類フィブリン(fibrin foam)とトロンビンとの應用,消毒法には化膿菌を制圧する各種有力な合成殺菌剤(スルフォンアミド剤等)及び抗生物剤を以て從耒の物理的或は藥物的消毒法を補う手段が用いられて耒ておる. しからば無痛法に就てはその進歩発達は何うであろうかというと,今日に於ても絶対に満足且つ理想的の方法は未だない. 殊に單一の麻醉法を以てしては決して満足に行われるものはないのである. しかし徐々に各種の努力,即ち藥物の改良,新裝置の発明,実施方法の進歩,種々の補助手段の考案等によつて進歩発達しつゝある. 外科医殊に日常診療に忙殺されておる者は時に無痛法の必要の根本の理由とその進歩の過程にある現状を靜かに省みてそれ等を考察することは患者の幸福のみならず,無痛法の発展を促す上に甚だ重要なことであろう.
一般に医療上現在痛みつゝある疼痛に対しては,これを緩解し或は除去する鎮痛剤或は麻藥が使用される. しかし外科医が施す無痛法の必要はそれとやや意味を異にして,外科的治療を施す目的の手術の疼痛を除くものである. 根本の差異は手術によつて附加する新しい疼痛或は苦痛を除くものである.
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