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腸間膜に發生せる肉腫樣神經鞘腫治驗例
佐藤 正三
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1岡山醫科大學津田外科教室
pp.360-362
発行日 1948年9月20日
Published Date 1948/9/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407200366
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1 緒言
神經腫瘍は之を他の器官より發生する腫瘍に比すれば一般に稀有な疾患である。1803年Odierが始あて神經腫に就き記載し,爾來多數の學者により組織學的及び發生學的に究明せられたが1822年Reckling hausenは神經織維腫を神經系と密接なる關係を以て發生する故に普通の纖維腫と區別し,結締織性の神經鞘及び神經纖維内鞘の腫瘍性増殖により生ずるものとなした。1908年Verocayは神經纖維細胞即ちSchwann氏細胞より神經細胞を有せざる眞性神經腫を形成し得ること,且つ先天的發育障碍により神經節細胞及びグリア細胞増殖を共に起す系統的疾患としてノイリノームなる腫瘍を區別した。爾來本症の報告相次ぎ現はれるに至つたが,腹腔内臓器に發生することは比較的稀で,1927年Balfour, Hendersonの報告により其の發生頻度を覗ひ得る。私は最近我が教室に於て腸間膜に發生せる小兒頭大のノイリノームの摘出に成功し,臨牀的組織學的に興味ある症例を經驗したので茲に報告する次第である。
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