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最近の内外國に於ける輸血及輸液
濱 光治
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1大阪大學醫學部岩永外科教室附屬醫學專門部
pp.133-138
発行日 1948年4月20日
Published Date 1948/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407200309
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I. はしがき
輸血とは生活せるまゝの血液を血管内に輪注することであることは最早言ふまでもない事であるが,單なる失血救急の目的ばかりでなく,今や臨牀的に凡る疾患に應用し,其の效果の甚だ顯著なものがある。しかし其れが今日餘りにも濫用の弊が全く無いとは申されない。又場合に依つては輸血の效果に對する期待は過信となり,往々裏切られる場合がある。此の輸血の不定の效果に對して嚴正な批判を爲さねばならない。
今次世界大戰を劃して輸血の理論的及び實際的價値又は利用に關して漸次半ば盲目的應用より合理的利用へと發展しつゝあるかに思はれる。特に血液代用の研究によりその特種的存在が認められるに至つたことは,その必然的な具現であらう。余は敢て輸血及び輸液の現況を述べて,學問的興味と臨牀的指針ともなれば最も幸甚とするところである。
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