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五十肩の診斷及治療
三木 威勇治
1
1東北帝大醫學部整形外科
pp.12-15
発行日 1947年4月25日
Published Date 1947/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407200197
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"五十肩"と俗に呼ばれるものは,症候群であつて,痃癖(Scapulargia specifica瀨川),上膊神經痛,更年期障碍,内臓反射性肩痛,肩胛關節周圍炎,變形性關節症,肩關節攣縮等種々なものによつて起ると考えられる。從つて,この五十肩症候群を起因別に分類することが必要である。しかし現在も尚,五十肩の名稱を殘しておかねばならないのは,腰痛症と同樣原因不明のものが相當あるからである。私はこの今も尚不明のものと考えられる五十肩1)の一部を明にすることが出來たと考えるので,その診斷及び治療に就て述べる。
先づ"五十肩"といふ症候群は如何に解釋すべきであらうか,私の知る所では,4〜50歳代の人に好發し,運動痛,壓痛,放散痛等を肩關節及び周邊に訴え,肩關節の運動は,外轉,外旋が主として阻害せられるが,上膊下垂位では前後運動が比較的樂に出來る。これが進行すると關節は強直状態になるが,豫後は比較的よく,俚言集覽の五七腕(一名五十肩)の項には「藥せずして醫す」と述べられてゐる位である。このやうな症状を特徴とするものと考えるので,前述の痃癖,上膊神經痛,更年期障碍,内臓反射性肩痛は,疼痛が主で,肩關篩運動障碍はないが,又あつても一時的であるので,五十肩に入れず,肩胛關節周圍炎,變形性關節症,肩關節攣縮等がこれに入ると理解した。
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