臨牀例
若年者胃癌の一例に就て
石川 浩一
1
,
大橋 成一
2,3
1東京大學醫學部大槻外科教室
2東京大學醫學部病理學教室
3東京大學大學院
pp.30-32
発行日 1948年1月20日
Published Date 1948/1/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407200281
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緒言 若年者胃癌は高年者胃癌に比して稀であつて20歳未満の明確な報告例としては本邦に37例(男子21例女子16例)外國に28例(男子21例女子9例不明2例)を數へるに過ぎない,その頻度は久留(1935)・各務(1938)・小宮山(1938)・竹野内(1939)・小龜(1941)・甲斐(1641)・三宅(1941)氏等の統計を綜合すると胃癌3559例中30歳未滿132例(3.7%)20歳未滿6例(0.2%)であり,又大槻外科教室における昭和12年1月より昭和19年2月までの7年間の統計では手術胃癌患者591例中30歳未滿22例(3.7%),20歳未満1例(0.2%)のみである。次に胃癌の穿孔例も稀であつて,その明確な報告例としては,本邦に17例,外國に10例を數へるのみであり,その頻度は桑原(1939)・宮崎(1940)・館田(1941)氏等の統計によれば,1821例中穿孔5例(0.3%)となつてゐる。著者等は最近16年7ケ月の若年者胃癌穿孔例を經驗し,臨牀上並に剖檢上興味ある所見を認めたので茲に報告しようと思ふ。
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