Japanese
English
論説
若年者胃癌の臨床と病理
Clinical and pathological study of gastric carcinoma in the young
中津 喬義
1
,
後藤 政治
2
Takayoshi NAKATSU
1
,
Masaharu GOTO
2
1慶応義塾大学医学部外科学教室
2慶応義塾大学医学部病理学教室
pp.1635-1645
発行日 1965年12月20日
Published Date 1965/12/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407203830
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はじめに
胃癌はわが国の悪性腫瘍死亡率中,最も高率であつてその約半数を占め,しかも近年においてその死亡率は上昇過程にあるとされている82).その中で満30歳未満の患者に発生した胃癌は若年者胃癌と呼ばれ37)83)91)114),1848年にDittrichi11)により,またわが国では滝口89)(1894)その他35)により報告されて以来これに関する内外の文献も少なからず発表されており,年齢の若いものではWill-kinson110)(1905)の胎児症例を始めとし,Wie(ler-hofer108)(1859)の生後16日の新生児,その他10)の報告が見られる.また臨床例において,Block8)は若年者の胃疾患中,少なくとも30%は胃癌であるとし,石川26)は若年者悪性腫瘍の剖検例中の40%が胃癌によつて占められるとしている.しかし胃癌は一般に40歳代から60歳代のいわゆる癌年齢に多発するところから,若年者胃癌がそれほどまれなものではないのにもかかわらず,今日なお,継100),竹野内91)の強調するごとく,しばしば看過されて早期治療の時期を失することが少なくないと思われる.著者らは昭和25年より38年に到る14年間において慶大外科外科学および病理学教室関係症例から若年者胃癌30例を得たが,これらについて臨床的ならびに病現学的検索を行ない,同時に文献的考察を試みた.
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