増刊号 ERAS時代の周術期管理マニュアル
Ⅳ 術中・術後合併症とその管理
3.呼吸器系
気胸—食道癌術後の対処を中心に
久保 尚士
1
,
大平 雅一
1
,
平川 弘聖
1
Naoshi KUBO
1
1大阪市立大学大学院医学研究科腫瘍外科
pp.272-276
発行日 2014年10月22日
Published Date 2014/10/22
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407200053
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最近の知見と重要ポイント
□気胸とは,さまざまな原因で,肺実質から吸気が胸腔内に流入し,胸腔内圧が上昇することによって胸痛や呼吸困難,血圧低下などを生じる疾患である.肺のブラ(肺胞の一部が囊胞化したもの),ブレブ(胸膜直下にできた囊胞)の破裂で生じる自然気胸と,開胸手術時や外傷などで生じた肺挫傷から生じる気胸に分類される.
□消化器外科手術後の気胸の発生原因を表1に示す.このうち経験する頻度が高いものとして,胸部操作を伴う食道癌の術後気胸や人工呼吸器の陽圧換気に伴うbarotraumaなどが挙げられる.陽圧換気による気胸は,胸腔内圧の上昇により,容易に肺や心臓などの縦隔臓器を圧迫し,循環不全を生じるため,緊急の脱気が必要である.
□近年,難治性の気胸に対して,50%ブドウ糖液による胸膜癒着術が安価で有効性が高いと報告されている.
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