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最近の知見と重要ポイント
【最近の知見】
□インクレチンが注目されている.
▶インクレチン(消化管由来インスリン刺激物質)としてGIP(glucose-dependent insulinotrophic polypeptide),GLP(glucagon-like peptide)-1が注目されている.
▶インスリン分泌作用とグルカゴン分泌抑制作用があり,後期ダンピングの増悪因子となる.
▶胃切除後に経口的な糖負荷を行うとGLP-1分泌が亢進することが報告されている.
▶GLP-1分泌が亢進し,膵β細胞からのグルコース応答性のインスリン分泌を刺激し,また膵α細胞からのグルカゴン分泌を抑制することが後期ダンピングの発症に大きく関与すると考えられている.
▶GLP-1の分泌細胞は主に下部小腸のL細胞であり,腸管内のグルコース,ガラクトース,長鎖脂肪酸,胆汁酸などの刺激により分泌される.
▶GLP-1には交感神経刺激作用があることから早期ダンピングにも関与している可能性も示唆されている.
【重要ポイント】
□ダンピング症候群は胃の手術後にみられるよく知られた後遺症の一つである.
▶胃疾患に対する胃切除後だけでなく,食道・膵疾患に対する胃切除を伴う手術後,胃-空腸バイパス術,幽門形成術,迷走神経切離術などの後にもみられる.
▶全身症状の出現によりQOLの著しい低下を招くことを認識するべきである.
□適切な食事指導を行い患者に理解させ,身体に合わせた新しい食事習慣を確立することが最も重要である.
▶初期に発見し対処するために,外来診療における問診は大切である.
▶術後の体力の回復を速めようとして患者が過食することも誘因となる.
▶食事の摂り方の注意を促すとともに,患者が不安を抱き過度の食事制限によって栄養障害をきたさないよう留意する必要がある.
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