Japanese
English
臨床報告
カペシタビンによる大腸癌術後補助化学療法中に重症化したdihydropyrimidine dehydrogenase(DPD)欠損症が疑われた1例
A case of suspected dihydropyrimidine dehydrogenase (DPD) deficiency in which severe adeverse events occurred during postoperative adjuvant chemotherapy with capecitabin
坂口 博美
1
,
宮本 英雄
1
,
大野 晃一
1
,
斉藤 拓康
1
,
五明 良仁
1
,
池野 龍雄
1
Hiromi SAKAGUCHI
1
1JA長野厚生連篠ノ井総合病院外科
キーワード:
DPD欠損症
,
カペシタビン
,
補助化学療法
,
大腸癌
Keyword:
DPD欠損症
,
カペシタビン
,
補助化学療法
,
大腸癌
pp.617-620
発行日 2014年5月20日
Published Date 2014/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407105056
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要旨
症例は70歳,男性.2010年1月,直腸癌に対し高位前方切除術を施行され,術後診断はtub2,pSE,pN1(3/11),cH0,cP0,cM0,fStage Ⅲaであった.補助化学療法としてカペシタビンの内服を開始(ゼローダ14錠/日,2週内服1週休薬)したところ投与後16日目から血性下痢が出現し,当科を受診した.高度の白血球減少(grade 4),血小板減少(grade 4)を認め入院し,抗菌薬およびG-CSF製剤の投与,血小板輸血にて軽快退院した.患者の末梢血単核球中のDPD蛋白量は,ELISA法にて10.8 U/mg proteinと基準値(33.6~183.6 U/mg protein:参照)に比べ低値を示しており,DPD欠損症が強く疑われた.DPD欠損症は稀であるが,5-FUの投与により重篤な副作用を合併し死亡例もある.特に5-FUの初回投与時は本症を念頭に置き,慎重な経過観察が重要である.
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