必見! 完全体腔内再建の極意・10
―幽門側胃切除術後再建―Billroth-Ⅰ法再建:デルタ吻合
木下 敬弘
1
,
高田 暢夫
1
,
砂川 秀樹
1
,
榎本 直記
1
,
芝﨑 秀儒
1
Takahiro KINOSHITA
1
1国立がん研究センター東病院胃外科
pp.84-90
発行日 2014年1月20日
Published Date 2014/1/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407104913
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■■はじめに
幽門側胃切除後Billroth-Ⅰ法(以下,B-Ⅰ)は国内で永く標準的な再建法として行われてきた.B-Ⅰは欧米ではあまり行われないため,遠位側に好発する分化型胃癌の発生率が高いわが国のお家芸であった.現在は「B-Ⅰ至上主義」という風潮はなく,症例や状況に応じてRoux-en-Yなどの再建法も使い分けるのが標準的な考え方であろう.しかし吻合が1か所でシンプルかつ早い,術後内ヘルニアのリスクがほとんどない,術後の胆道アクセスが容易といったメリットを考えると,やはりB-Ⅰという選択肢は残しておきたい.
完全体腔内で行うB-Ⅰとして,現在最も普及している術式はKanayaら1)が開発したデルタ吻合である.筆頭著者はほぼ原法に準じた手法で,2007年以降,これまで300例近くのデルタ吻合を経験した2).本稿では,現在の施設で定型化して行っているデルタ吻合の手技を紹介する.
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