特集 術前画像診断のポイントと術中解剖認識
Ⅲ.小腸・虫垂・大腸
直腸癌
竹之内 信
1
,
大島 秀男
2
Makoto TAKENOUCHI
1
1東京警察病院外科
2東京警察病院
pp.136-142
発行日 2013年10月22日
Published Date 2013/10/22
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407104798
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はじめに
近年,直腸周囲の解剖の理解と手術手技・手術器械の進歩により,従来なら腹会陰式直腸切断術を余儀なくされた症例においても,かなりの割合で肛門機能を温存することが可能となった.また,total mesenteric excision(TME)の導入は中下部直腸癌の局所再発率を10%程度にまで減少させ,現在では直腸癌手術における標準的術式となっている.しかしながら,周囲組織に浸潤した局所進行癌においては手術単独による治癒は困難であり,放射線化学療法の併用や他臓器合併切除などの拡大切除が必要となることから,術後の排尿機能障害,性機能障害や排便機能障害が大きな問題となる.このため,腫瘍の局在,壁深達度,他臓器浸潤の有無,リンパ節転移の有無や遠隔転移の有無を正確に評価し,過不足なく治療方針を決定することが重要である.
また,直腸癌手術を安全かつ確実に遂行するうえでは,術中に直腸固有筋膜をはじめとする直腸周囲の膜構造を十分に認識しながら手術を進めることが重要であり,術前の画像評価においてもこれらの膜構造と腫瘍との関係を十分に評価しておく必要がある.
本稿では,最近の知見をもとに直腸癌術前検査に用いられる各種画像診断の特徴とその限界について概説する.
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