元外科医のつぶやき・24
献血者の熱き想い
中川 国利
1
1宮城県赤十字血液センター
pp.1605
発行日 2016年12月15日
Published Date 2016/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542201059
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血液センターの主な業務は採血と供給である.私はセンター長として現場を把握するため,しばしば献血ルームや献血バスの検診医を務めている.そして,検診を介しながら,献血者との会話を楽しんでいる.
休日の午後に,男子高校生が父親と献血バスに現れた.初めて献血する理由を尋ねると,“父が頻繁に献血しているので,以前から興味がありました”と答え,さらに“頼もしいおやじです”と付け加えた.引き続き現れた父親に息子との会話を伝えると,“そうですか.家ではそんな話は聞いたこともありません”とつぶやいた.緊張する息子を気遣いながら,狭いバスのなかでともに献血した.献血を済ませた親子は“またきます”と約束し,連れ立って街頭に消えた.
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