書評
出月康夫,古瀬 彰,杉町圭蔵(編)「NEW外科学(改訂第3版)」
上本 伸二
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1京都大学医学研究科肝胆膵・移植外科学
pp.1214
発行日 2012年9月20日
Published Date 2012/9/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407104239
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本書『NEW外科学』の序論で外科の歴史~外科の特殊性~医療の倫理と展開する執筆者の「外科学に対する思い」を楽しんで拝読した.常日頃,外科医の日常で考えていることを見事に論じており,これからの若い世代の外科医や医学生に読んでもらいたい内容である.
外科学教科書を評価する場合に,私はまず総論の内容に目を通す.本書においては,総論は全体の3分の1を占める充実したものとなっている.しかし,外科学教科書における総論には,現場の外科医療に役立つようにコンパクトにまとまっていることと同時に,基礎医学のおさらいをかねて理解を助ける工夫の2点が必要である.もちろん,外科医に限らず一般の臨床医が常に理解しておく必要がある範囲を超えての学問の広がりは,各医学領域の専門書に委ねるべきであり,このあたりのバランスが教科書には必要となる.今回の第3版では,「免疫」,「腫瘍」,「臓器移植」,「人工臓器とME」に多くの紙面が割かれている.最近の医療の進歩に対応する改訂であり,このくらいの知識の増加は,今後の外科医療の発展についていくためにも一般の外科医にも必要とされるものである.
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