昨日の患者
最期の演技
中川 国利
1
1仙台赤十字病院外科
pp.996
発行日 2012年8月20日
Published Date 2012/8/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407104175
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誰もが最期を迎えるが,現代の日本では病院で亡くなる人が大多数である.各家庭での人間模様が病室でも繰り広げられ,われわれ医療従事者は仕事を介してそれを垣間見ることになる.理想的な最期は各人で異なるが,最愛の家族を前にしてテレビドラマのように感動的に演じ切った患者さんを紹介する.
総胆管癌の再発をきたして,80歳代半ばのSさんが入院した.癌性腹膜炎で腸閉塞となり,また著明な腹水を認めた.そこで,補液を行うとともに強力な利尿剤や麻薬を投与した.奥さんは連日付き添い,Sさんを甲斐甲斐しく介護をした.また,近くに住む長男夫婦は孫を連れて足しげく見舞った.Sさんは息子や孫の顔を見ると,大いに喜んだ.
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