ひとやすみ・85
スポーツ大会
中川 国利
1
1仙台赤十字病院外科
pp.639
発行日 2012年5月20日
Published Date 2012/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407104069
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東北地方の5つの赤十字病院が年に一回,持ち回りで球技大会を開催している.昨年は当院の主催で行われた.人生と同様にスポーツにもドラマがあり,勝者があれば必ず敗者も存在する.そして,歓喜の叫びがあれば悔し涙もある.数多くのエピソードが生まれるが,代表的なものを紹介する.
野球会場での決勝戦でのエピソード.当院のエースピッチャーMが三振の山を築き,1対0で試合を優位に進めていた.しかし,突然,7回裏に雷雨が生じ,試合が中断した.再開された8回表の最初の一球を打たれ,ランニングホームランとなり同点になった.その後は見事に立ち直り,再び三振で終えた.そして8回裏,打者となったMは内野安打を打って一塁へ全力疾走した.セーフになったものの,右足首を捻挫し,立ち上がることさえ困難となった.代走が送られ,その代走が生還して再び1点差で勝ち越した.最終回,誰もがピッチャー交代を予測した.しかし,Mは継投を強く希望し,足を引きずりながらも三人を全て三振で完投し,勝利投手となった.その精神力に,観戦する皆が感動し,褒め称えた.しかし,応援していた某看護師長が,「彼は病院のことをまったく考えていない」と,呟いた.確かに,高校野球では許されても,プロ野球ではありえない行動であった.
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