ひとやすみ・79
心穏やかに
中川 国利
1
1仙台赤十字病院外科
pp.1493
発行日 2011年11月20日
Published Date 2011/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407103833
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この世は多くの人との交わりで成り立ち,一人で生きて行くことはできない.そして,他人との共同生活では,怒り心頭になることがしばしばある.しかし,相手にも言い分があるもので,自分の意をストレートに表現すると相手も激昂する.そして,相手の対応によってはさらに怒りが増し,最終的には自分自身が疲労困憊するとともに後悔することになる.
かつて大学で研修していた頃,地方の病院に短期間ながらよく派遣されたものである.地方での最大の喜びは,多くの患者さんと直に接し,大学では経験できない種々の臨床を経験できることであった.若くて独身であったこともあり,ほかの医師の当直をよく代行したものである.1か月の当直回数が28回に及んだこともあったが,当時は労働基準法などはまったく問題視されなかった.連日の当直による利点は,報酬もさることながら,当直室を自分の意のままに使用でき,通勤時間がゼロであり,三食の心配がまったく不要であることであった.ただ,手術着をパジャマ代わりに使用したが,下着の洗濯に苦慮した.また,最大の問題は,睡眠をいかに効率よくとるかであった.
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