特集 外科医のための最新癌薬物療法
Ⅰ章 臓器別薬物療法
1.乳癌―①術前療法
山城 大泰
1
Hiroyasu YAMASHIRO
1
1三菱京都病院乳腺外科
pp.8-17
発行日 2011年10月22日
Published Date 2011/10/22
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407103779
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
術前療法の適応とレジメン選択
術前療法の適応
NSABP B-18試験1)やB-272)といった術前薬物療法の大規模試験の結果から,術前か術後かといった薬物療法の施行時期は無病生存期間や全生存期間に影響を与えないと考えられるようになってきており,primary systemic therapy(初期全身療法)という概念でまとめられる.したがって化学療法,内分泌療法,分子標的療法などを含めた術前薬物療法の適応と術後薬物療法の適応は基本的に同一であるが,閉経前ホルモン受容体(hormone receptor:HR)陽性乳癌に対する術前内分泌療法は推奨されておらず,術後薬物療法のエビデンスを術前にそのまま持ち込むには不十分な部分もある.
乳癌では化学療法をはじめ,トラスツズマブなどの分子標的療法や内分泌療法など薬物療法の選択は多岐にわたる.薬物療法のガイドラインには,St. Gallenコンセンサス会議の推奨3)(表1-①,1-②)やNCCN(http://www.nccn.org/index.aspから入手可能)などがあるが,薬物療法の適応についてはガイドラインによって若干の違いがあるため注意を要する.
Copyright © 2011, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.