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あとがき
畠山 勝義
pp.1740
発行日 2010年12月20日
Published Date 2010/12/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407103369
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この欄でのトキ(朱鷺:学名はNipponia nippon)の紹介は6回目となる.1回目は佐渡市におけるトキの人工繁殖,2回目は野生復帰のための訓練,3回目は1次放鳥(10羽),4回目は2次放鳥(19羽),5回目は1次および2次放鳥で本州に飛来したトキ,について紹介してきた.今回は1次放鳥(2008年9月25日)および2次放鳥(2009年9月25日)からちょうど2年と1年が経過したので(10月1日現在),その後を報告する.
1次および2次放鳥を合わせると計29羽のうち,2010年9月22日現在17羽(58.6%)が継続的に確認されており,4羽(13.7%)が未確認となっている.半年以上未確認の行方不明扱いのトキは5羽(17.2%),1年以上未確認を含む死亡扱いのトキは3羽(10.3%)となっている.これら生存しているトキのうち,今春の繁殖期には6組のペアができ,このうち5組が産卵したが,残念ながらいずれも孵化には至らなかった.現在,佐渡島内では放鳥地周辺の新穂・両津エリアで2次放鳥のトキを中心に12羽が群れを形成して行動しており,最大では14羽の群れが確認されたこともあったという.また羽茂エリアには2羽,相川エリアでは1羽が確認されている.一方,本州に渡ってきて住み着いているトキが2羽で,新潟市西蒲区に1羽と富山県黒部市に1羽が確認されている.これら本州に飛来してきた2羽のトキは,現在でも単独で行動しており,ペアを形成するチャンスはほとんど皆無なので,心配な面が多い.
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