カラーグラフ エキスパート愛用の手術器具,手術材料・20
熱メス
霞 富士雄
1
Fujio KASUMI
1
1順天堂大学医学部附属順天堂医院乳腺センター
pp.1205-1210
発行日 2010年9月20日
Published Date 2010/9/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407103172
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はじめに
熱メスは加熱メス,あるいは創作者の名前をとってショー加熱メスとも呼ばれているが,簡単に「熱メス」と呼ぶのが適していると考えられるので,以下,熱メスと呼称する.
熱メスは替刃のなかに内蔵されている小さな3個のマイクロサーキットによって,通電後,瞬時にして刃の温度が最高300℃までに達する通電加熱メス,すなわち電気メスならぬ「電熱メス」である.ステンレス製の鋭い刃の切れ心地にこの加熱による蛋白の変性凝固がハイブリッド効果として相乗し,焼灼切開と言うべき鋭い切れ味のよいものとなっている.
また,刃の両側面の300℃の高熱によって蛋白変性をもたらして組織を切離しながら,同時に小血管からのoozingを防止し,切離と創面表層の熱凝固をはかるよう工夫されたメスである.加熱するとメス腹に凝固物が付着してしまうが,この難点を克服させるために,メスの両側面にはテフロン加工が施されていて,長時間切れ味を保つよう配慮されている.
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