勤務医コラム・14
癌が再発したら
中島 公洋
1
1慈仁会酒井病院外科
pp.1011
発行日 2010年7月20日
Published Date 2010/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407103125
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- 文献概要
自分が手術を担当した患者さんの癌が再発したら……まずがっかりする.これから先,いつ頃どういうことが起こって,どう処置したらこうなって,そうして最終的にこうなる,という流れ図が頭のなかに浮かんでしまう.はじめから切除不能の場合も似たような流れ図が浮かんでくる.
Negativeな気持ちをふり払って治療を始める.患者さんの年齢,性,性格,仕事,経済状態,家族構成などを考えて,なるべくよさそうな方法を選ぶ.できるだけ副作用がないように,お金がかからぬように,よく効くように,と願いつつやる.“抗癌剤の作用機序”のような理屈はさておき,とにかく気持ちを込めてやるしかない.気持ちで解決するほどヤワな問題ではないが,気持ちしか持っていないのだから仕方ない.「あきらめず,とことんつき合う」それしかない.当然,屍の山だ.しかしそのなかにポツンと咲く花をたまに見つける.
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